−84 枠
1.6
僕には自由の中でものを創り出す力がない。
だから枠を与えられることを望んでいる。
僕には自由の中でものを創り上げるだけの自我がない。
だから制限されることを望んでいる。
好きなものだけ作っていたい、かっこいい人たちに囲まれていたい。
だけど、それは自由の世界の人たちにのみ与えられる権利。
安定と引き換えに、僕は自由を捨てようとしている。
かっこよさを、高い時計を身につけてとんがった革靴を履くことと勘違いしたり、それがかっこよさだと言い聞かせている人たちの仲間になる。
自由の中を泳ぎ回れる力と、暗闇を恐れない強さが欲しかった。