−167、166 僕たちは自由なはず
10.20.21
無人のフロントでボタンを押して部屋に入り、窓が一つもない部屋で2人きり、「宿泊」の12時間を過ごす。
この瞬間に部屋の外の世界でなにが起こっていようと、気づかなさそう。
外の世界から遮断されている感がすごかった。
その帰り道、電車の窓からホームに並ぶ大勢の人々を見て「外の世界」に戻ってきたことを実感する。
見上げるといわし雲が茜色に染まっている。
秋空の下を高速で流れていく建物や山々。
どこまでも行けそうな気がしてくる。
そう、どこまでもいけるのだ。
バイトのシフトも、就職も、家賃も今晩の宿も、なにも考えさえしなければ僕たちはいつでも、どこまでも行くことができる。
だけど、知らぬ間に自分で自分をがんじがらめにしてしまって、自ら作った「不自由」を時折嘆くのだ。
自分は本質的に自由であるということを忘れないために、時折旅に出なければならない。
ホテルの一室という極端に閉じた空間を経て、「外の世界」の果てしない広さを再認識した。